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【対談】APIによるデータ活用モデルの展望 < Session 2 > スーパーシティ構想にみる、データ活用による未来 - CCCマーケティング株式会社 橋本 孝一 氏

CCCマーケティング株式会社様とブリスコラは、会津若松で設立された「スーパーシティAiCTコンソーシアム」参画企業として共に活動しています。特に、「データ利活用分科会」のメンバーとして、IDやデータを安心安全に管理・運用する仕組みを、システムとルール・規約の両側面から検討し、オプトインをもとに、APIによるデータの連携や都市OSの高付加価値化を目指しています。この活動を通して、また各社のビジネスから培った知見をもとに、スーパーシティを成功に導くためのポイントを議論します。

末貞)「スーパーシティ構想にみる、データ活用による未来」と題して、CCCマーケティング橋本様にお話を伺います。私たちは共に会津若松で結成された「スーパーシティAiCTコンソーシアム」で理事を拝命し、またCCCマーケティング様、アクセンチュア様、ブリスコラの3社で「データ利活用分科会」の活動をさせて頂いています。このAiCTコンソーシアムは現在64社が参画、14ある各分科会の中でそれぞれのテーマに基づいて活動を進めており、我々は特に「オプトインシステム」のモデルによるデータ連携について議論しています。

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スーパーシティにおける課題 ~ 規約とオプトイン ~

橋本氏)CCCマーケティングは、主にTポイントの会員の基盤からのID・会員規約、その規約に基づいたIDの体系、その管理・運用方針について、このAiCTコンソーシアム/会津若松の中でいかにIDを保持し運用していくのか、といったルール・規定を中心に整理させていただいています。ブリスコラはそれをいかに実現していくか、について活動されていますよね?

末貞)現在、スーパーシティの公募がなされていますが、その前段における内閣府のプロジェクトで「標準化」について調査報告を行いました。そこで、「規約」という点についても、国民に対し各サービスが増えていく中で規約をどの程度まで規定するべきかを調べていました。先日、橋本様からCCC社の流れを伺った中でお話の出た「規約」について、非常に面白いなと思いました。データを連携していただく市民に対して、オプトインを許諾しながら規約についても承諾をしてもらう、そこにこれからの課題としても難しさがあると思っています。

橋本氏)我々は、Tポイントという世界の中での規約に基づいて会員様と規約を結ぶのですが、スーパーシティでは「都市OS」というデータ基盤上で、そことTポイントのIDをどのようにつないでいくか。また、各サービサーの上にモビリティ・医療といった各種サービスがあり、そのサービスのそれぞれにおいていかにオプトインしていくか、どのタイミングでどのように許諾をとるのか、という点を考えなければなりません。

11サービスではない世界、それぞれが連携する中でオプトインをとらなければならない、そこでの規約というのはこれまで無かったと思います。そこに、我々もとても苦労しています。おそらく何かユースケースがないと、具体的なイメージがわかないと思います。そこで、「Customer Journey」というユースケースを作り表現しています。

例えば、「健康・移動・決済」の3つのサービスについて、あるご年配の方を想定されるユーザ例として、その方の健康状態をチェックしそれをモニタリングし医者がどのようにコミュニケーションをとるのか。お医者様のところにいく、薬は配送する、といったそれぞれのデータ連携の許諾をどのようにとるのか、この中でIDにはどのような体系が必要で、どのタイミングで許諾を取る必要があるか、といったことを現在整理しています。

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末貞)このユースケースの中でも、4社ほどの企業が関わってきています。これらの企業が会津若松そしてAiCTコンソーシアムで連携する、市民からこの流れをわかりやすく表現してほしい、というご意見を頂きました。このユースケースで市民にわかりやすく表現していけるかを検証していくのですね。

オプトイン社会の実現に向けて  API活用におけるIDと認証認可と連動するオプトインシステム ~

橋本氏)まずは論理上、このユースケースの流れでデータ連携ができるかどうかを整理しています。次のステップでIDとオプトインを認証していくための具体的なシステムの概念設計を、ブリスコラのAPIや認証方式を活用し検討していく想定です。

末貞)企業のシステムはトップダウンで作ることが多いと言われていますが、この会津若松での仕組みはボトムアップも含めた両方からの仕組みです。AiCTコンソーシアムと会津若松市は、国のスーパーシティ構想を受け止めてトップダウンで方向性を決めるのですが、64社の企業が参画しているAiCTコンソーシアムのメンバーがボトムアップで作り上げなければならないところもあります。その両方の仕組みと方針を繋ぎ合わせるところが、「規約」であり「認証」であり「ID」であり「API」が出てくるのです。

我々が分科会で議論している内容をサービサーの方にお伝えすると、非常に前向きに取り組んでくださります。自助公助だけでなく「共助」という、共に連携しあって助け合う、という考え方ができているところがAiCTコンソーシアムの凄さかと思います。ただ、この方針で連携します、といっても相手側のシステム設計が全く異なることもあり、システム的には非常に難しい点も多くあるのが現状です。

橋本氏)各社、自社サービスをそれぞれ持ち合っており、元々あったものがそのままはまるわけではないのですね。

末貞)そこで、その緩衝材の役割がAPIなのです。この「APIの標準化 - APIにどういうものを書いて、どのように繋ぎ合わせます」という点が難しくもあり面白い点でもあります。標準化ができると企業間の連携も非常にしやすくなりますし、認証認可・セキュリティの部分もやりやすくなります

橋本氏)標準化は難しそうですね。

末貞)前向きに能動的に動いてくださるサービサーだけではなく、自社で多くのユーザ数を持つスーパーパワーの企業様もいらっしゃるので、システム的には変えられない...という企業も出てくるでしょう。ここに挑むのもまた面白いところと思っています。

コンソーシアムによる活動の意義

橋本氏)私はこれまでいくつかのコンソーシアムを経験してきましたが、実はコンソーシアム否定派なのです。コンソーシアムは、ある意味各社平等で自由に発言するのですが結局まとまらない、ちょっと一緒にサービスをしPOCをし成果をまとめて...といったように、コンソーシアムでは事業は成り立たないと思っていました。しかし、会津若松は違いました。しっかりアーキテクトが全体を引っ張り、そこに対して各理事を筆頭に市民目線でいかにサービス、デジタル化そしてDXを進めていくのか、といったビジョンがぶれていないのです。アーキテクトがリーダーとしてコンソーシアムの運用をしていくことに可能性を感じています。逆に会津若松で失敗したら、どの地域もうまくいかないのでは...と思っているくらいです。会津若松のAiCTコンソーシアムを成功させるというモチベーションはすごく高いのです。

末貞)AiCTコンソーシアムは良い意味で忖度がありません。各社が意見を言い自由な考え方できているのですが、これらが具体的にAPIで繋がりあった時に大きなパワー発揮すると思います。そこが初めてオープンの意味をもたらす価値だと思っています。

市民の生活向上の具現化に向けて

橋本氏)まだスーパーシティの採択がされていない中、このスーパーシティの旗をかかげ各企業、サービサー、そしてコンソーシアムの理事も含めて、この中でコンテンツとなるサービスそのものを考えている。これらをいかにプラットフォームとしての都市OSの上でひとつのサービスのように連携することで、市民の方々の生活が良くなるのか、この視点にフォーカスすることが重要ですね。

末貞)その形で代表的なものとしてUberがあげられます。この設計は色々なサービサーがAPIを出し合い、市民が見るときは一つのアプリになっている。このように一つの形になって出てくることで、市民の方もこれが連携やデータ接続というものなのか、と納得すると思います。そこで今度は自分の個人情報を提供することでカスタマイズされたパーソナリティに合わせたデータが返ってくる、この良い循環が生まれてうまくいく、ここが一番重要な点だと思います。

橋本氏)やはり早く目に見えて、市民の方々が自分のデータを提供しオプトインしたことによって、日常使いの何かが変わった、便利になった、とても人のためになっている、と実感するこのようなケースを作っていきたいですね。

末貞)会津を越えて他の地域へ、という次のフェーズではシステム設計上も文化的にも、さらにハードルがあがるでしょう。CCC様もサービサーとして、例えば会津から他の地域に行かれた方の固有のデータをどのように活用できるか、というのは考えてらっしゃるのではないでしょうか?

橋本氏)例えば自分の病歴など健康に関するデータを引き継いでおいてもらえれば、旅行先で具合が悪くなった場合でも安心して旅行に出かけられますね。

末貞)そこで重要なのは固有のセキュリティレベルが必要になってくるのです。何か起きた時のことも想定しどのようにデータ連携ができるか、またサービスのレベルによっても変わることでもあるので、さらにサービサーの方に入って頂き議論していきたいです。

橋本氏)スーパーシティ採択の再提出の際、規制緩和についても会津はしっかり提案しましたよね。

末貞)ここがスーパーシティとスマートシティの違いですね。「規制緩和によりどうしたいか」といメッセージがあること、その時に受け止められる都市OSがそこに存在しているということ、それが安心と広がりにつながると思います。

APIゲートウェイを活用した認証認可の仕組みとは

橋本氏)ブリスコラのAPIの認証を含めた具体的な技術についても教えてください。

末貞)まず、IDの重要性です。固有のIDを作る際、「誰が」というのはイメージが付きやすいですが「どこに」という部分がとても重要なのです。「どこに」というのは「どのAPIにどれだけアクセスしてよいのか」と言いかえられます。IDを発行したところがその情報を持つのですが、その情報が全ての起点になりAPIと連携するのです。これをAPIゲートウェイでまかなうことで、APIそれぞれを設計することなく管理の方法が容易になるのです。

橋本氏)地域のユニークなIDをしっかり払いだして、そこをしっかり管理していかないと、その先の方に労力がかかってしまう。そこを解決する仕組みでしょうか。

末貞)IDを発行する仕組みがあるのですが、後ろ側に64社のサービサーができたとして、例えばそれをAさんのアプリケーションがAPIをアクセスする時にこの仕組みを通っていくのです。アクセストークンで「IdP1」といわれる仕組みに都度トークン2を戻して確認し、APIのアクセスが可能になります。これができることでその人が現状のステータスとしてリアルタイムに許諾しているかどうかがわかるのです。

APIGateway_R.png他社の仕組みを他社が繋ぐという構成の中で、他の人の設計を他の企業が連携していく、ここをトークンで繋ぐことでインターネット上でもセキュアであるという世界になります。これを実現するために、APIの作り方にも協力頂き、内閣府も推奨しているOIDC3と呼ばれる認証方式を採用することで、セキュアな環境で繋がり合い市民が充実したサービスを受け取れる形になることを願っています。

AiCTコンソーシアムにおける今後の展望

末貞)これからAiCTコンソーシアムでデータ利活用を進めていく中で、ポイントとされていること等お考えをお聞かせください。

橋本氏)ある程度、我々が概念や方向性を出している中で、次は、具体的にそれを都市OSID連携の中で、サービサーの持っているものと新しく会津若松で準備するものとの差分をいかに埋めていくか、ということをサービサーの方々とより深く議論をしていくフェーズになると思っています。

末貞)市民の方々にはある程度ご理解頂けてきていると思います。私も次はサービサーだと思います。会津若松の魅力に、多くのサービサーが入り増えていくといいなと思います。そこでシステムが壁になってはいけない。皆さんがやりたいような自由な形でできるとよいと思っています。

橋本氏)同じ分科会メンバーですし、これからも一緒に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。

末貞)ありがとうございます。

2shotforWEB.png写真左) CCCマーケティング株式会社  取締役  橋本 孝一 氏
1992年より経営コンサルティングファームにおいて、主に電力・ガス業界の小売流通自由化における戦略、マーケティング業務に関わる。BPRやIT戦略立案、プロジェクトマネジメント業務を多数手がける。2000年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社にて、Tポイントの企画立案、事業立上を行ったのち、黎明期のネットリサーチ事業の経営に携わる。2011年から社会起業家として、一次産業の六次産業化や地産地消をテーマに取り組む。現在は、会津若松市の「地域主導型スマートシティプラットフォーム(都市OS)」構想に賛同し、官民データ連携、オプトイン社会の実現のために、「T」のデータを社会に還元すべく活動中。

写真右) 株式会社ブリスコラ 代表取締役  末貞 慶太郎
外資金融機関を経て、2000年よりIT業界にて、海外のハードウェアやEAIソフトウェアを販売。2008年より株式会社インターネットイニシアティブの事業企画担当として、松江のPUE1.1のコンテナデータセンターなど多数のプロジェクト立ち上げを担当。2010年6月株式会社ブリスコラを起業し、クラウドにフォーカスした戦略コンサルティングやIoTプラットフォームサービスの提供を開始。2015年日本で初めてAPIマネジメントのOSSツール「Kong」をベースにしたサブスクリプションサービスを展開。また米国Kong社(旧Mashape社)と世界初の代理店契約を締結。APIを活用した先進的なシステム導入実績を重ね現在に至る。

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