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【YouTube公開】APIの標準化が実現する未来 ~企業やスーパーシティ/スマートシティにおけるデータ利活用~

202121-26日に開催されたTIS/ラック主催オンラインイベント「CLOUD & SECURITY CONFERENCE 2021」 にて実施しましたパネルディスカッションの再録記事です。

ブリスコラ YouTubeチャンネルで動画を視聴いただけます。こちらからご覧ください。

top 4p.png丸井氏)CLOUD & SECURITY CONFERENCE のパネルディスカッションということで、公共・民間におけるAPI、特にデータ利活用におけるAPIに焦点を絞り紹介してまいります。

末貞)ブリスコラは4月で設立12年目になる会社です。もともとクラウド連携のサービスを提供しており、約6年前からAPIに特化したビジネスをさせて頂いています。現在、OSSを活用したAPIマネジメントのソフトウェアと、米国Kong社の製品提供の双方にて、APIプラットフォームを包括できる全ての要素を取り入れたソフトウェアをサブスクリプション形式で販売させて頂いています。これに加えて、コンサルティングやサービスの提供も行っています。

BriscolaC.png「オープンイノベーションをビジネスに」という点を企業理念としています。「オープンイノベーション」をビジネス化していくことはなかなかハードルが高く難しいのですが、様々な方とコラボレーションすることで実現できるビジネス、という理念を掲げて進んでいます。会津若松市のAiCTに「API Lab AIZU」という拠点も設立いたしました。今年は「API元年」ということで、TIS社とは会津でも一緒に色々とビジネスを進めているところです。

APIとは?

丸井氏)APIについて、今一度、簡単に紹介してもらえますか?

末貞)「API」という言葉は、現在法案の中にも入っていますし、皆さんも耳にする機会が増えていると思います。「API」とはホストの時からある仕組みで「アプリケーション・プログラム・インターフェース」の略になります。

API.png

なぜ今このように取り沙汰されているのか。スマートフォンのアプリがより普及し、NetflixやUber等、新しいビジネスモデルができたとき裏で動いているのがAPIなのです。インターネットの普及により多くのデータ量を連携できるようになったことをきっかけに、今までは隠れた後ろの仕組みだったものが、データにアクセスするインタフェースとして公開することができるようになりました。APIを用意しておけば、外部のアプリケーションがAPIをアクセスしてデータを取り新しいビジネスモデルを作っていける、という点が注目されている要因だと思います。

丸井氏)インテックは元々「データ交換」のビジネスに取り組まれていますが、APIは重要な技術になっていくのでしょうか?

浦田氏)技術もそうですが、キーワードとして非常に大きな意味合いがでてきています。インテックもTISも長年、EDI(エレクトロニック・データ・インターチェンジ)データ交換のビジネスをやっています。昨今、「データ連携基盤」といった言葉が出てくるようになったのですが、我々からすると、かなり昔からやってきていることなのです。ただそれは、規約にのっとり、また決められた枠組みの中でやってきたデータ交換です。昨今言われているのは、「オープン API」です。開かれた世界でのデータ交換をしましょう、という言葉になってきている点が、これまでとは変わってきているのかなと感じています。

民間企業におけるAPI活用の現状 

丸井氏)民間や公共において、どのような形でAPIについて動かれているのか、現状をお聞かせください。

末貞)まず、民間企業様でどのような取組みをされているかを紹介します。先んじてサービスをされている大手企業、金融・物流業界はだいぶ動かれています。今までは基幹システムなど社内で閉じた環境だったものを、EC・インターネットバンキング等、エンドユーザが触れるラストワンの画面に対してデータを出していくという点を整えなければいけない、という話が昨年から一気に動きだしています。
データを公開しようとしたときにAPIがあるのですが、そのAPIを出そうとしたときに、外からのアクセスに対してどういうことを提示していけばいいか、という「ルール」をどのように決めていけばよいのか、という点をコンサルティングしてほしいという話が多くなってきています。社内のルールを決め、それに沿ってAPIをどのように標準化してお客様に出すのか。APIを開発する方に対しても、書き方の社内のルールを決めていきたい、という点に取り組まれています。
あとAPIはいくつも作れるわけですが、それ自体のアクセスを勝手にやってしまうとガバナンスが効かなくなるので、民間企業では、APIのプラットフォームを作りAPI Gatewayを入れ、そこのアクセスの後ろにAPIがあるという仕組みに興味を持って頂きお話をさせて頂く機会が多いです。

デジタルシフト ~スマートシティ・スーパーシティ実現に向けて

末貞)会津若松で6年以上前から自治体や国の動きに対し様々な実証実験をやらせて頂いていますが、今の流れはやはりスマートシティです。都市自体をスマートにし、デジタル化されたたデータをいかに利活用していくか。デジタルシフトしている政府において、最も重要な柱の一つがデジタルシティ、スマートシティをどうやっていくか、です。そのひとつとして「スーパーシティ」という、実証する地域を今年選定するということで動いています。SC B.png

上記の図のように、エネルギーや医療といった10個のテーマを掲げて、法律ではできないところを少し緩めそのコンテンツに特化し実証していこう、というのが内閣府主導のスーパーシティの前提になっています。その中のアーキテクチャに「都市OS」があります。様々なシステムがAPIにより繋がり、最終的に、国民や市民に対してサービスを届けられるようにする、といった設計になっています。その中のAPIのルールをどのように決めていくのか、という点を内閣府に提言させて頂いているところです。

丸井氏)これまでのEDIと比較し、APIのルールを決めるということは、そう簡単にできるものなのでしょうか?

末貞)この二つはもともとの目的が違います。EDI は「データを交換して渡す」という発想から始まっています。この発想をシステムでいうと、DBとDBをつなぎ合わせたい、しかし、それぞれ言葉が違うので変換して渡さなければなりません。
APIはインターネットが普及している今、自分で出したいデータをAPIによってつついてください、という点で起点が違うのです。APIの場合も、それぞれ違う言葉をもつDBですが、APIをどう出していくかというのは自分で考えられる。ただこれが妙で、相手からアクセスされないとアクセス数は増えないので、APIはいかにわかりやすく欲しい形の情報としてだせるか、という点が作る側のノウハウなのです。APIには標準化や自由さがある、しかしその反対にあるセキュリティをしっかり管理しなければならない、というのがAPIと以前のデータ連携との違いかなと思います。

丸井氏)我々TIS/インテックグループとしても、その中でAPIの分野に取り組もうと思っています。どの部分がビジネスチャンスであり、提供できる部分だと思いますか?

浦田氏)「API元年」、まさに変わっていかなければならないと思っています。EDIは「PUSH-PULL」 押し込んでとる。APIの世界はほとんど「PULL」。開放された情報を必要なだけ必要な方がとっていく、となると、我々がEDIの世界でやってきた規約のようなものが整っていないと、様々なAPIが世の中に出てしまう。EDIは「自分たちのデータを確実に相手に届ける」というのが本質なので、相手が特定多数なのです。その中で特定多数の相手がばらばらのAPIになってしまうと、収集がつかなくなってしまうのでは、という危惧があるのです。我々も今のうちに内閣府が進めているオープン APIの仕様にのっとった形で、業界を先導していくような動きをしなければならない、そこにビジネスがあるのではと思っています。

API管理の重要性

末貞)特定多数というのは面白い言葉ですね。APIは「不特定多数」なのです。どのような、またどれだけのアクセスが増えるのか、それをいかに受け止められるかを考えなければなりません。使いやすさやキラーサービスが重要です。自治体や地域に詳しい方、地域で募集されているアーキテクトといった方々がいかにキラーコンテンツを作れるか、さらに地元のことを一番よくわかっている方がサービスの企画をする、ここが重要なのです。我々の業界はそこを支えるところなので、その方たちより上にいかず後ろで支えるテクノロジーのところを押さえていかなければならないのです。APIを作るという所の提案をしていく中で、APIを使ってこういう風に変わったらこんなに楽になって...ただ、それらが出た後、何千個というAPIになった時そのAPIをどうやって管理していくのか、という点が課題となります。

API Gatewayというのは自分のAPIでなくても管理できてしまう。このGatewayで他のAPIも自分のAPIのようにアクセスし取ってくる、という点が昔とは違う所かなと思います。他のサービスのAPIも自分のサービスのようにAPIを管理して見ていかなければならない。そこを先に研究していかなければならないと思い、API Lab AIZUを設立しました。TIS社とも一緒にやっているAPIの運用監視」の部分はとても重要になってくる点だと思います。

丸井氏)インフラ部隊の我々も、「APIを支え管理して守っていく」という点に注力し、一緒に「守り」の部分をやっていきたいと思っています。その「守り」の部分を紹介したいと思います。

中島氏)現在、スマートシティ/スーパーシティで使われるサービスとサービスを繋ぐ基盤のところを作っているのですが、そこで多くのAPIができるわけです。データ連携基盤は公共のものかもしれませんが、APIというのは、事業者ごとに自分たちで作っていくものなのです。自分以外のAPIがどんどん増えていき、それらをどうやって運用すればいいのか?という点をしっかり考えておかなければならないのです。しかも、APIごとに、よく使われるものはスケールさせ、そうでもないものは小さく留める、リクエストの数に波がある場合はそれに応じて負荷を適切にさばきつつ、各リソースも抑えて低コストに運用する、ということも考えなければいけなくなってきます。そういうときに重要になるのが、APIマネジメントの部分でどのAPIがどれくらい使われているのかという点をしっかりとモニタリングし、それに合わせた運用を作っていく必要があります。Kadai.png※デモ動画は、YouTube動画にてご確認ください。

この画面が、API Managementのトップページになります。Nakajima1.png左側にあるグラフがAPIのリクエストのステータスです。この水色、緑、紫の部分までが正常にリクエストが終了した部分で、それ以降はエラーの結果になります。だいたい何%ぐらいのリクエストが成功してどれくらいが失敗しているのはわかります。さらに細かく見ていくと、どういう理由でリクエストがうまく動かなかったか、といった理由が見えてきます。またそのリクエストをさばくAPIについても、例えばその観光用のAPIはたくさんアクセスされるけれども、防災用APIはそんなにアクセスされない、といった波もモニタリングしておいて、影響度が大きいようなメディアに障害が起こったときは、より迅速に対応するようにし、そうでもない場合のビジネスインパクトは別途考慮する必要あります。多少優先度を落としても大丈夫、といったSLAを担保したり、優先度も考慮することができると思います。ある時間帯に突発的にエラーが増えた、といった場合、New Relicから自動でチケットを発行して担当者に連絡が飛ぶような仕組みを考えています。

これが1ページ目なのですが、さらに細かく見ていくと、リクエストの上にあるグラフがレスポンスタイムですが、特に大きいリクエストがあると、クリックすると中の状態を見ることができ、処理ごとに時間のブレークダウンを作っていくと、どこで時間がかかっているのかがわかります。Nakajima2.png

こちらはクラスター側で。APIを稼働させているクラスター側のメモリー・CPU使用率というものも併せて見ておくことで、APIのスケールだけではなく、そのサーバー自体のスケールも必要という点も1台ごとにモニタリングできるようになっています。Nakajima3.png

丸井氏)APIをやっている側として、今後、APIの運用で注力しなければいけない点はどこになりますか?

末貞)(上記スーパーシティの図参照表示)今実証中ということもあり、まだAPIはありません。今後、スーパーシティに対して出すキラーAPIや地域がサービスの主幹となりそれらのサービスのAPIが出てきます。このようにAPIが増えた時に、マネージドサービスとして運用をしていかなければならないと考えられます。このマネージドサービスがとても重要なのです。何かうまくいかなくなった時に誰の責任なのか、そのサービスはそうやって復旧してよいのか、というのがわからなくなりがちなので、ここでマネージドサービスが大事なポイントになると思います。

浦田氏)不特定多数なので、脅威に対する対応というのが大変ですね。

丸井氏)長年EDIをやっているインテックとして、このAPIのゲームチェンジに対してどのようなことに取り組んでいかれますか?

浦田氏)第一に、ゆっくり移行の期間に入っていくのだろうと考えています。EDI業界において一番のイベントは2024年にISDNのサービスが終わる、という点です。通信網として持っていた回線が奪われてしまう。それからインターネットに全てのデータ交換を移行していく、という流れが2024年。2025年何が起きているかというと、インターネット移行が終了した段階ですと、プロトコルでつながっている状態は変わらない。その先考えるのは、B2Bのデータ交換もAPIでつないでよいのでは という世界がくるだろうということです。EDIは特定多数なので、まず特定をしないといけない。当然、運用や認証が一番重要になってくるため、そこが我々のサービスとしての付加価値として一番大きいと思います。OS&EDI.png上記、緑色の箇所が我々の既存のEDIのビジネスです。現在、決められたプロトコルとデータフォーマットでデータ交換が行われています。その横(オレンジ色の箇所)に「API Gatewayサービス」を置き、お客様を順次移行していく必要があると思います。ただ、全部がなくなるわけではなく、プロトコルで連携する人たちも残ると思っています。インテックとしては両方のお客様をしっかりと支えることができます、という点で価値を出していきたいと思っています。規約に則った形でAPIでのデータ連携ができるといった世の中を作っていかないと、今後大変なことになっていくのではと思っています。我々が持っている情報 Gateway とほぼ同じ機能を入れないといけないのです。そこは「都市OS」と言われているところのデータ連携基盤と全く同じもしくはほぼ近いものが入らないといけないと思っています。「産業OS」という言い方をしていますが、これは都市OSとは異なるものですが、都市OSと同じ規約に則った形での産業の情報が流れる世界を作っていこう、というイメージでその方向にもっていければと思います。

丸井氏)企業側もEDIなのかAPIなのか、と悩み始めると思うのですが、都市OSで標準化されたAPIサービスがあるというのが企業にとって強みになるのでしょうか?

末貞) 標準化は大事なのですが、標準化とセキュリティという両方を、まずお客様が自分でやろうと思ってもできないと思うのです。インテック社のようにサービスをされている企業が用意をし出していく、というところに多分に価値があると思います。

丸井氏)先進的な民間企業では、APIに対してどのような取組みをされているのでしょうか?

末貞)API Gatewayで集約することでAPIの情報が全て入ってきます。「デベロッパーポータル」というのが、どのようなAPIが整っているかを外に表現するもので、「デザインポータル」というのが、どのようにまた規約を受けてAPIをどう書いていくか・セキュリティを意識してどうやっていくのがよいか、という機能を担います。現在、弊社のお客様はこれらの対応をされています。API PF.png導入事例として紹介しているお客様に日本気象協会様(以下、JWA)がいらっしゃいます。 JWAはデータを分析し、レポートを出してコンサルティングもされています。汎用的に表現できるAPIを出していく、といった新たなサービスモデルを作られています。このように、先進的な企業様では社内の標準APIを作り外部に出していこう、といった形の対応を検討されています。

丸井氏)まさにデータでビジネスをしていこうとされている企業様はこういったものを作られているのですね?

末貞)はい。導入企業でもあるヤフー株式会社様といったデジタルだけのサービスを進めている企業では、すでに導入されています。データを外部に出しAPIでアクセスさせるといったようにAPIを出していくことがベースになると、10年前には夢にも思わなかったサービスが増えていくでしょう。APIでビジネスを切っていくことで、例えば、ECサイトだったら物流のところだけ他のECサイトの物流会社が運んでくる、といったことができるようになるのです。この先広がっていく「新たなビジネスモデル」だと思います。

丸井氏)EDIの世界でもこのようなことが成立するのでしょうか?

浦田氏)「EAI」の世界ですね。社内連携システムといった、ファイルやプロトコルでつながっていた世界が、社内連携もAPIに変えてしまおうという動きになり、さらに社内も社外もとなれば、マインドチェンジが入ってくる。我々はそのようなマインドチェンジされたお客様を、きちんと支えることのできるサービスを作っておきたいと思います。

丸井氏)スマートシティについて、TISが何をしているかもご紹介したいと思います。我々は会津若松市にてスマートシティに取り組んでおり、決済の仕組みとして「ID決済プラットフォームを発表し、地域ウォレットという形で実証実験をしています。TIS SC.png

APIの標準化、そして都市OSを支える基盤としての「データ連携基盤」を各都市に導入し連携していきたいと考えています。SangyoOS.png末貞)認証認可とAPI Gatewayが連携することで、セキュリティモデルをあげていく点がポイントかと思います。WAF・CDNともAPI Gatewayは連携するため、これからはこのセキュリティについても取組んでいこうと考えています。

中島氏)標準化されるといっても完全に一つの思想にはまとまらないだろう。ある一定程度の標準化の中に、バリエーションが生まれてくるでしょう。そのバリエーションの中の差異を埋めるところを担っていくことで、標準化をアーキテクチャの側面からサポートしていければと考えています。

浦田氏)テクニカルなところは、やるかやらないかだけで、すぐつながると思います。テクニカルな場面は変わるし、変えていかなければならない。常に、勉強・連携、お客様に何が大切かを考えて提供していければと考えています。

丸井氏)全社にてお客様のクラウド、セキュリティのインフラをサポートしていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。

※当記事は、2021年2月時点の内容です。

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